西洋の『赤』に対するイメージ・文化とは?

ヨーロッパで、

赤色はどのような意味を持った

色だったのでしょうか。

今回は 中世ヨーロッパを中心に

赤色に対する文化・イメージを紹介します。

【目次】

西洋での赤のイメージ

社会的地位と赤色


西洋での赤のイメージ

古くから『赤色』は、

命の源である血の色をイメージさせることから

戦や戦闘に関する道具などによく使われました。

特に、医療技術の進んでいない

中世ヨーロッパでは赤という色が、

止血に効果があると考えられ

けがの治癒という願いを込めた護符(※1)として

医者が、赤色の服を着て、

けが人の治療にあたっていたそうです

また、中世の人々は

お守りとして”赤”を軍隊のシンボルである軍旗に好んで使いました。

当時 護符として使われていた赤色を軍旗に入れることで

戦いの勝利の願いを込めていたと考えらています。


社会的地位と赤色

中世では、赤い服は主に

支配階級の人の服装でした

特に王侯貴族や法律を司る高等法院長官、

身分の高い聖職者、医者が赤い服装を身に着けることができました。

というのも

中世で、劣化しにくく耐久性のある赤い染料として使われていた

エンジ虫(※2)からとれるケルメスという染料はとても貴重なもので

ケルメスで赤く染められた約一メートルの布を買うのに

当時のお金で庶民の約600日分の主食代にあたる金額が必要になりました

赤い布や服は、高価な染料が必要になることから、

王様や高位な聖職者の色とされていたために、

国王や国賓(※3)を迎えるときに床に敷かれる

赤いじゅうたんの色として使われ、

現在でもその伝統が受け継がれています。


※1 護符

神々が加護して様々な厄難から逃れさせるという札やお守りのこと

※2 エンジ虫

カメムシ目カイガラムシ類の昆虫。

ブナ科のケルメス樫(カシ)や緑カシに寄生していて

このエンジ虫を乾燥させた後、酢につけ 再度乾かすと赤色の染料

ケルメス染料が取れる。

※3 国賓(こくひん)

国家元首(国のトップ)が接待する

海外からの賓客(ていねいに扱わなければいけない重要人物)のこと。

(補足)

中世ヨーロッパでは、茜(アカネ)という植物からとれる染料のおかげで

一応 庶民も 赤い服は着ることができました。

しかし、植物から作られた染料は

服のこすれや時間による劣化によって

すぐ色落ちしてしまうため

一般の人々の服は、くすんだ色合いの服だったそうです


【引用・参考文献】

〇色彩の紋章 

シシル著 伊藤亜紀翻訳  悠書館発行

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〇色で読む中世ヨーロッパ  徳井淑子著 講談社発行

〇色彩の魔力-文化的・美的・心理学的アプローチ

浜本隆志・伊藤誠宏編集 明石書店発行

〇色彩-色材の文化史

フランソワ・ドラマール・ベルナール・ギノー著

柏木博監修 創元社発行

〇色彩の宇宙誌-色彩の文化史

城一夫著 明現社発行

https://amzn.to/3Sv1YZB

〇『ヨーロッパーの色彩』 ミシェル・パストゥロー著

 石井直志・野崎三郎 共約 株式会社パピルス発行

〇広辞苑 第6版 岩波書店

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