西洋の『黄金・黄』に対するイメージ・文化とは?

ヨーロッパで、

黄色や黄金はどのような意味を持った

色だったのでしょうか。

今回は 中世ヨーロッパを中心に

黄色と黄金に対する文化・イメージを紹介します。

【目次】

神聖な光や富を表した黄金

社会から追い出された人につけられた黄色


神聖な光や富を表した黄金

古代ギリシャやローマでは、

黄金は神話の神々の服に使われ

神を象徴する色としてあつかわれました

その考えはキリスト教にも受け継がれ、

黄金は 神の光を象徴する色として

宗教画に描かれた聖人の光背(コウハイ。仏教画の後光のようなもの)や

祭壇の装飾などによく使われました


また、黄金は その貴重性から

王冠や勲章、アクセサリーなど

見た目でその人物の強さがわかるよう

権威・権力の象徴・シンボルとして

持つ者の高い身分を証明するために

教皇や王侯貴族・豪商に好んで使われました


社会から追い出された人につけられた黄色

一方、中世ヨーロッパの時代において

黄色は忌み嫌われた色でした

その理由としては、

ヨーロッパで強い影響を持つキリスト教では

救世主 イエス・キリストを裏切った

イスカリオテのユダという人物が黄色い服を着ていたという伝承があったために

キリスト教社会では 黄色はとても嫌われる色になってしまいました

この伝承の影響により 中世ヨーロッパでは

売春婦や道化師、芸人など

一部の民族や、社会から追い出された下級の中でも底辺の地位の人々が

ほかの市民と区別されるために黄色の服を着させられていました


また、中世ヨーロッパでは

黄色は子どもたちの服によく使われました

というのも、

当時 中世ヨーロッパで 子どもは

『不完全で未熟な大人』や『理性の欠けた不完全な人間』

として 扱われていました。

現代のように、子どもらしさに価値を置かれ大事にされるという考えは

17世紀ごろに現れており

それ以前の中世ヨーロッパの子どもたちは 現代とは違い

厳しい環境に置かれていたことが 

考えられています。


これらのことから 

中世ヨーロッパでは 

黄色はあまり好んで使われる色ではなかったということが

わかりますね。


(補足)黄色の染色

中世ヨーロッパでは

布を黄色に染めるときは モクセイソウやエニシダ、メギなどの

植物を使っていたようです。


【引用・参考文献】

〇色彩の紋章 

シシル著 伊藤亜紀翻訳  悠書館発行

〇色で読む中世ヨーロッパ  徳井淑子著 講談社発行

〇色彩の魔力-文化的・美的・心理学的アプローチ

浜本隆志・伊藤誠宏編集 明石書店発行

〇色彩-色材の文化史

フランソワ・ドラマール・ベルナール・ギノー著

柏木博監修 創元社発行

〇色彩の宇宙誌-色彩の文化史

城一夫著 明現社発行

https://amzn.to/3Sv1YZB

https://amzn.to/47Ys8JW

https://amzn.to/3Srwl2X

https://amzn.to/3umyYuY

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です