西洋のドラゴン 応用1 メソポタミアの龍

世界各地に伝わる龍の伝承はどこから始まったのでしょうか?

人類の文明史から龍伝承の起源を探っていきましょう。

【目次】

・シュメール人と最古の龍クル

バビロニア神話のティアマト


【シュメール人と最古の龍クル】

http://www.craftmap.box-i.net/world.php  https://www.freemap.jp/listAllItems.html#id=mideast

人類最古の古代文明の生まれた所メソポタミア(※1)といわれています。

紀元前3000年頃にチグリス・ユーフラテス川の流域にシュメール人が侵入して

二つの川から水を引き、川の豊かな土地を使って大規模な農業を行い

都市国家を作っていきました

彼らは楔形文字と粘土板に刻印する印章を使い

高度な文明を発展させていきます。

そのシュメール人達の残した粘土板には

蛇や大蛇と思われる刻印が残されており

その怪物はチグリス・ユーフラテス川の氾濫と洪水をもたらす

怪獣「クル」という名前で記され、

シュメール人の神々や人々に退治されている様子が記されています

これらの印章から怪獣クルは

シュメール人たちの生活と社会を脅かす退治されるべき悪しき獣と表現され、

のちの時代にヨーロッパに引き継がれる悪しき物ドラゴンの性格を

うっすらと伺うことができます。


バビロニア神話のティアマト】

シュメール人たちの紡いだ怪物クル退治の伝承は

そののち紀元前1900年頃にメソポタミアの地を制覇し支配した

バビロニアにも伝わり、神話に組み込まれていきます

バビロニア神話「エヌマ・エリシュ」には

王の化身である英雄神マルドゥク

「大洪水を起こす龍」であるティアマトを退治し、

その体を引き裂いて天地が作られたという天地創造神話が語られていきます

この神話からは、メソポタミア文明の基盤が、

チグリス・ユーフラテス川がもたらす肥沃な土地と

豊富な作物により成り立っており

メソポタミアを統治するバビロニア王は王権を維持するために、

チグリスユーフラテス川の治水・灌漑を最大の仕事としていたことがうかがい知れます。

怪獣クルやティアマト等の伝承の龍は

メソポタミアを治める王の権力を絶対的なものにする、

王権の対立者のシンボルとして生まれていったと考えられています。

(※1)メソポタミア

世界最古の文明発祥地の一つ。

語源は「二つの川の間の土地」を意味するギリシャ語から。

メソポタミアはチグリス・ユーフラテス川流域にある沖積平野で、

現在の中東 イラクの一部にあたる。


【引用・参照文献】

〇龍の起源 

荒川紘著 紀伊國屋書店発行

〇図説 竜とドラゴンの世界

 笹間良彦著 遊子館発行

〇オリエントの神々

 池上正太著 新紀元社

・ブリタニカ国際大百科事典

・最新世界史図説 タペストリー 帝国書院 発行

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