西洋の『緑』に対するイメージ・文化とは?

ヨーロッパで、
緑色はどのような意味を持った
色だったのでしょうか。
今回は 中世ヨーロッパを中心に
緑に対する文化・イメージを紹介します。
【目次】
生命と恋愛を象徴する緑
『淫乱の罪』を象徴する緑
生命と恋愛を象徴する緑
世界各地で緑色は、生命の象徴として文化や芸術などで表現に使われました。
緑は、冬に一度枯れてしまいますが季節が変わり
春・夏へと移るにつれ
鮮やかな若葉としてよみがえる様子から
人々に緑は『命の泉』というイメージを思い起こさせたようです(※1)。
ヨーロッパでは 新緑の恵みを祝うために開催された
5月祭りや狩猟で 若い男女たちは祭りを恋愛の場として
楽しんでいたこともあって、
ヨーロッパでは 緑は 『恋愛の色』というイメージが強いようです。
『淫乱の罪』や悪魔を象徴する緑
ヨーロッパにおいて緑は
生命の象徴という良い意味を持つ一方、
(樹木の葉の色が)季節によって色が変わってしまうということで
緑は、移り変わりの激しく
破壊と混乱をもたらす色というイメージもあったようです。
前の記事内容で 緑は恋愛の色とされていると書きましたが、
中世ヨーロッパにおいて主な結婚は政略結婚だったこと と
ヨーロッパにおいて大きな影響力を持っていたキリスト教では
恋愛は七つの大罪(※2)の一つ『淫乱(色欲)の罪』として
考えられていたために、
当時罪とされていた恋愛を思い起こさせ、
かつ、移り変わりが激しいというイメージを持つ緑色は
悪魔の色とされました。
現在でも、欧米の作品で
魔術や悪魔に関するものによく緑が使われるのは
この 『淫乱の罪・悪魔の色』=緑
というイメージが強いからかもしれませんね。
(※1)補足:神聖視された常緑樹
季節によって葉の色が変化する植物、
特に四季を通じて緑の葉をつけ続ける常緑樹は
『永遠の命』を象徴とされ、古代ヨーロッパでの樹木崇拝の信仰のもとになった。
(※2)七つの大罪
キリスト教において、
他のもろもろの罪の原因となると考えられている
虚栄(尊大)、貪欲、色欲、暴食(酩酊)、憤り、嫉妬、怠惰の
7項目の罪のこと。
初期キリスト教の修道生活の考え方に由来するとされている。
(補足)緑の布は高価なもの
中世では緑に染められたは高価な布として扱われた。
理由としては布を緑に染めるときは
通常の布の染め方と違い、
一度布を黄色に染めてから、再度 藍色染料で青く染めて
緑色にするために二重の手間がかかったので
赤色の布の次に高い価格で取引された。
【引用・参考文献】
