動物文様 東洋でのイメージ・意味は?
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東洋では 動物とはどういう
イメージ・意味を
持つのでしょうか?
今回は東洋での主な動物文様の持つ意味に
ついてまとめました。
【目次】
〇獅子
〇虎
〇鹿
〇亀
〇兔(うさぎ)
〇獅子(しし)
獅子文様は
インドなどの西域(※1)では
獅子は太陽の力を宿すとされ
中国では戦国時代
(紀元前770~紀元前221年)頃に
伝わり 獅子は聖なる獣とされ
次第に 邪気を払う魔除けの
文様として
使われるようになっていきました。
獅子紋は 魔除けのほか
強い男子が生まれることを
願う吉祥紋(玉取獅子紋)
としてもよく使われています。
獅子紋は日本にも伝わり
日本では 中国の架空の動物として
受け入れられ 唐獅子紋や
獅子の体毛の巻き毛を
形象化・図案化した
毛卍紋(けまんもん)などして
様々な芸術品に使われました。
〇虎
虎は 古くは
四神(※2)の西の方角を守る
『白虎』として古墳や鏡などに
描かれました。
また 一説では
中国の魔除け紋の一つ
『饕餮紋(とうてつもん ※3)』も虎紋から合成されたという
説もあります。
中国では 竹林に住むと
されることから
竹とセットで絵画などに
描かれています。
〇鹿
鹿は 中国では
切っても切っても生えてくる
角の様子から
不老長寿の象徴とされ、
長生きを表すめでたい文様として
よく使われました。
また 鹿の字が
福禄寿(※4)の『禄』と
同じ音・読みなので
吉祥紋としても使われました。
日本では鹿に対する信仰があり
奈良では 鹿は神の使いとして
大切に保護されています。
日本の鹿は 文様としては
秋の風物詩として
紅葉や秋草とともに
よく描かれます。
〇亀
日本では 亀文様は古くは
弥生時代
(紀元前8世紀~紀元後3世紀※5)
からあり
北の方角を守る守り神として
古墳(※6)の壁画にも
描かれました。
亀は 万年生きるとされ
鶴とともに長寿のシンボルとして
めでたい文様として
使われています。
〇兔(うさぎ)
ウサギは世界的に
月と不死と関わる動物と
されています。
中国の古代神話では
ウサギは 月で仙薬を
臼でつく・たたいているとされ
月と不死の象徴とされています。
また 十二支(じゅうにし※7)の
文様の一部『卯』(よみ:う)と
してもウサギは入っており
重要な吉祥紋として
使われたようです。
(※1)西域(さいいき)
中国の西方諸国を
中国人が読んだ凡称。
広義には ペルシャ・小アジア・
シリア・エジプト方面まで含む。
狭義にはタリム盆地
(東トルメキスタン)を
いい、漢代には
オアシスにイラン系諸族が
分散・定住して小都市国家が分立、
西域三十六国と称され、
唐代にかけて東西交通の要所となった。
weblio辞書より 『西域』↓
https://www.weblio.jp/content/%E8%A5%BF%E5%9F%9F
(※2)四神
中国で天の四方の方角を
司る神々の事。
東は青龍(せいりゅう 青い龍)、
西は白虎(びやっこ)
南は朱雀(すざく 赤い鳥)、
北は玄武
(げんぶ 亀にヘビが巻き付いた姿)
の事。四獣ともいわれる。
(※3)饕餮紋(とうてつもん)
古代中国の器物、
特に殷・周時代の銅器に見られる、
眼と角を強調した奇異な獣面文様。
wikipedeiaより 『饕餮』↓
https://wikipedia.cfbx.jp/wiki/index.php/%E9%A5%95%E9%A4%AE
(※4)福禄寿(ふくろくじゅ)
七福神の人ひとり。
短身、長頭でひげが多く、
経巻を結び付けた杖を携え、
多くの鶴を従える。福禄人。
中国では南極星の化身という。
仏教入門ドットコム より 福禄寿とは↓
https://butsuzo-nyumon.com/fukurokuju
(※5)日本史の弥生時代(紀元前8世紀~紀元後2・3世紀)
日本史において縄文時代の後
古墳時代の前の時代。
その開始の指標を弥生土器の出現とする考え方と
稲作の開始とする考え方がある。
紀元前8・7世紀前後から
紀元後2・3世紀ころまでを指す。
大陸文化の影響を受けて
水稲耕作や金属器の使用が始まり、
銅剣・銅矛・銅鐸
(どうたく 銅の鐘)などの
青銅器とともに鉄器も用いられる。
(※6)古墳(こふん)
高く土盛した古代の墳墓。
日本では3~7世紀に当時の
豪族ら有力者が盛んに造営した。
その形状により 円墳・方墳
前方後円墳などがある。
有名なもので
仁徳天皇陵(大山古墳)がある。
(※7)十二支(じゅうにし)
暦法で
子(読み:ね ネズミ)、
丑(読み:うし 牛)
寅(読み:とら 虎)、
卯(読み:う ウサギ)
辰(読み:たつ 龍)、
巳(読み:み ヘビ)
午(読み:うま 馬)、
未(読み:ひつじ 羊)
申(読み:さる 猿)、
酉(読み:とり ニワトリ)
戌(読み:いぬ 犬)、
亥(読み:い 猪)の呼称。
中国では十二宮のおのおのに獣を
あてたのに基ずく。
各獣を時刻・方位の名として
使っている。
【引用・参考文献】
〇アジア・中東の装飾と文様
海野弘著 パイインターナショナル発行
〇日本・中国の文様事典
早坂優子著 視覚デザイン研究所発行
〇広辞苑 第6版
〇山川 日本史小辞典 2001年発行


