東洋での『黄・橙』のイメージ・文化の違いとは?

アジアでは、

黄・橙色はどのような意味を持った

色だったのでしょうか。

今回は 東アジアを中心に

黄色・橙色(オレンジ)に対する

文化・イメージについて紹介します。

【目次】

東洋で最高位の色『黄色』

日本の天皇の装束の色『黄櫨染(こうろぜん)』

東洋で最高位の色『黄色』

西洋では忌み嫌われていた黄色ですが、

東洋、特に東アジアでは

黄色は 黒色に次ぎ、

最も高貴な皇帝の色として扱われています。

中国で 

黄色広大な大地そのものの色(※1)とされ

中国神話においての 

世界を創造・統治する神 天帝から

大地・地上を治めるように神命を受けた

皇帝そのものを示すシンボルの色とされ

最も高貴な色としてあつかわています。

また、 中国の陰陽五行思想では 

色は宇宙・世界を構成する

重要な要因であると考えられ

中央を表す黄色を中心に

他の色が循環して世界が動いている

(陰陽主運説※2・土王説※3)という

思想・世界観を持っています

この中国独特の世界観の影響により

最高位の色 としての黄色の位を

より 確固たる(動かぬ)ものとして

確立しているようです。


(※1)黄色は大地の色

中国では 黄河やその地域に分布する黄土を

連想させる黄色が

大地を象徴する色と考えられていた。

(※2)陰陽主運説

五行説の考え方の一つ

五行思想の木・火を陽、金・水を陰、

土を中央に置き 君主(皇帝)は

季節・時期に合わせ

五徳(皇帝の徳 この循環によって王朝の交代等を説明した)

を循環させることでうまく政治を

行っていくべきという考え方

(※3)土王説

五行思想の一つ。

土王説とは 五行はすべて同格ではなく

土がほかの五行より一段強い立場にあり、

力の強い土を中央に位置し、

他の火・水・木・金に影響を

与えて続けているという考え方。

※西洋での黄色の文化・イメージについては

下記の記事を参考にしてください。

※五行思想での黄色の意味についてのは 

下記記事を参考にしてください。

日本の天皇の装束の色『黄櫨染(こうろぜん)』

中国では 黄色を

最も高貴な皇帝の色として使っていましたが

日本では 橙色系統の

天皇(※1)のみが使える『黄櫨染(こうろぜん』と

皇太子のみが使える『黄丹(おうに)

が高貴な色として

天皇・皇太子以外は着ることが

許されない禁色とされています

この二つの色が禁色となっている理由として、

黄櫨染(こうろぜん』は天の中心の太陽の色、

黄丹(おうに)』は日本の国旗 旭日旗の色

を表す色といわれ、

812年(弘仁12年)に

第88代嵯峨天皇(さがてんのう)の

詔(みことのり 勅命)にて、

天皇の装束の色として定められたといわれています。

天皇を含む日本の皇族は 

日本神話で 最高位 かつ 太陽神である

天照大神(アマテラスオオミカミ ※2)の子孫と

言われていることもあり

太陽を思い浮かべられる

橙色は 天皇家を象徴する色としては

これ以上ないふさわしい色と言えますね。


(※1)天皇(てんのう)

日本の歴代の君主の称号。

元来は中国の言葉で、

万物を支配する皇帝の意味を持つ。

日本の初代天皇は

『古事記(現存する日本最古の歴史書)』や

『日本書紀

(日本最古の天皇の命令で編纂された正史)』では

神武天皇(じんむてんのう)とされているが

天皇という呼称の成立は

〇推古天皇時代説(592~628年頃)

〇天智天皇時代説(668~671年頃)

〇天武・持統天皇時代説(673~697年頃)

の3つの説がある。

明治憲法(1889年発布)下では統治権を

総攬する絶対権力者と規定されたが、

1946年の日本国憲法では 

「日本国の象徴であり、

日本国民統合の象徴」と規定され、

国家の機関として果たす権能も

象徴たる地位に相当する

きわめて限定的なものとなっている。

(※2)天照大神(アマテラスオオミカミ)

日本神話において

日の神(太陽神)の女神で 

高天原(たかまがはら)の主神。

皇室の祖神とされている。

三重県伊勢市にある

伊勢皇大神宮(伊勢神宮内宮)に

祀られている。

別名:大日孁貴(おおひるめのむち)

(※補足)

日本で 黄色は 

中国の皇帝の色という考えはあったものの

693年(持統7年)に天皇の詔(みことのり)によって

黄色が 無位の官僚の服の色を

黄色にするよう定められ、

また 百姓(庶民の事)の服の色も

採取しやすい『苅安(かりやす)』という草から

染めることができる

黄色にするように決められた。


【引用・参考文献】

〇色彩博物館 

 城一夫著 明現社発行

〇日本の色のルーツを探して

 城一夫著 株式会社パイ インターナショナル発行

〇色彩の宇宙誌 -色彩の文化史

 城一夫著 明現社発行

〇中国の伝統色 -故宮の至宝から読み解く色彩の美

 郭浩・李健明 著 黒田幸宏 翻訳  

 鷲野正明 監修

 翔泳社発行

〇陰陽五行説 -その発生と展開

 根本光人 監修 根本幸夫・根井養智 著

じほう発行

〇広辞苑 岩波書店 2009年出版

〇新漢語林 大修館書店 2008年出版

〇ブリタニカ国際大百科事典 2009年出版

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