五行相生・相剋説とは? 五行説 応用

五行思想の細かい内容・考え方について

理解するためには

どのような基礎が必要なのでしょうか?

今回は 五行説の中の

五行相生・相剋説について紹介します。

※五行説については

下記の記事を参考にしてください。

【目次】

五行相剋説(ごぎょうそうこくせつ)について

五行相生説(ごぎょうそうしょうせつ)について

五行相剋説(ごぎょうそうこくせつ)について

五行相剋説とは

中国の戦国末期の鄒衍(※1すうえん)が

物事は 五行(5つの属性)が

自分と相性の悪い他の属性を剋し

(勝つ・やっつける・抑制)合い

循環していると 説いたものです。

(鄒衍が五行と時令思想※2を合わせて

 考え出したもの)

相剋し合いながら循環する順番は

上の図のようになっています。

鄒衍が説いた五行相剋説の

細かい理由・説明を見てみましょう。


〇木は土に勝つ(剋す)

 木は土に根を張り巡らせて

 土砂崩れを防ぎ、

 草木は根を張って土の栄養を吸収する。

〇土は水に勝つ(剋す)

土は水を吸収してせき止め、

水の流れをとどまらせる。

〇水は火に勝つ(剋す)

水は火を消し去ってしまう。

〇火は金に勝つ(剋す)

火は金属を溶かしてしまう。

〇金は木に勝つ(剋す)

金属(斧や刃物など)は

木を切り倒してしまう。


このように 五つの属性は天敵となる

他の属性にやっつけられながら

物事は循環していっていると

鄒衍は五行相剋説を説明しました。

(※1)鄒衍(すうえん)

紀元前350年頃活躍した中国 戦国時代の思想家

斉国(現在の山東省)の人。

天文や地理に優れ、陰陽説と五行説を合わせて

宇宙の生成を論じ、

かつ それに基づいた五徳終始の学説をもって

中国の歴代王朝の交代を説明したという。

(※2)時令思想(じれいしそう)

時令とは為政者が季節ごとに発令する

御触(法令公布)のようなもの

具体的には 農事暦のことを指す。

時令については 五行説成立前から存在したが

五行相剋説を唱えた鄒衍

時令の考え方・あり方と五行思想を合体させた物を

時令思想(じれいしそう)という。

↓下記図参照

五行相生説(ごぎょうそうしょうせつ)について

では もう一方の五行相生説は

どういう考え方なのでしょうか?

五行相生説は 鄒衍が説いた五行相剋説から

約200年後の前漢時代(紀元前1世紀ごろ)

隆向(りゅうこう※1)・隆歆(りゅうきん)の親子

(父子)が唱えた説です。

相剋説に出てくる五行を並び替え

各属性の性質から 

相性の良い属性を生み出し

循環するという考え方です。

循環の順番は 上の図のようになります。

では、隆向・隆歆の父子の説明した

五行相生説の

細かい理由・説明を見ていきましょう。


〇木は火を生ず(生み出す)

木をこすると火が生まれ、

さらに木が燃えて炎になる。

そのため 木と火は相性がいい。

〇火は土を生ず(生み出す)

火は木を燃やすことで

灰(土)を作り出す。

そのため 火と土は相性がいい。

〇土は金を生ず(生み出す)

土(地中)の中から鉱物(金属)が

採掘される。

そのため 土と金属は相性がいい。

〇金は水を生ず(生み出す)

金(金属)は冷えることで

金属そのものの表面に水を生み出す

(結露により表面に水滴がつく事と考えられる 

  ただし この説に関しては諸説あり 

  金属を溶かすと水のように液体になるから

  金属は”存在・属性そのものの中”に

  水を含んていると考えられていた。)

そのため 金属と水は相性がいい。

〇水は木を生ず(生み出す)

水が草木を生み、成長させる。

そのため 水と木は相性がいい。


このように 隆向・隆歆親子は

相剋説とは異なる順番で

五つの属性は 

相性のいい属性を生み出し

循環していると五行相生説を説明しました。


☆ちなみに五行相剋説・相生説を同じ図で説明すると

 このような図になります。

(※1)隆向(りゅうこう りゅうきょうとも読む)

前漢代(紀元前1世紀ごろ)の学者。目録学の始祖。

字は子政。隆歆(りゅうきん)の父。

著書に『列女伝』『洪範五行伝』などがある。


以上、五行相剋・相生説の

主な内容でした。

五行思想の相生・相剋説は

中国の学問分野に深く影響をおよぼしました。

例として 東洋医学に五行相生説に当てはめ

 ”肝臓(五臓の中で木属性)が弱って苦しいときは

  甘いもの(五味の中で土属性)食べることで

 ”肝臓の苦しみを緩める※1(蔵気法時論)

など 体の調子を整える方法に

応用していたりします。

東洋の学問・文化を勉強するときに

基礎知識として

五行思想と

五行相生・相剋説を知っておくと

より深く楽しく学ぶことができると思いますよ。


(※1)『陰陽五行説 -その発生と展開』より引用

 肝(木)は急(ひきつれること)を苦しむ

 ⇒急ぎ甘(土)を食して之を緩めよ。

補足》五行思想には 五行相生・相剋説のほかに

   陰陽主運説土王説というのもあります。


【もっと深堀り記事】

(準備中 3月末に投稿予定)


【引用・参考文献】

〇現代に息づく陰陽五行-増補改訂版

 稲田義行著 日本実業出版社発行

〇陰陽五行説 -その発生と展開

 根本光人監修 根本幸夫・根井養智著 株式会社じほう発行

〇五行大義 

 赤村璋八著 株式会社明徳発行

〇広辞苑  第六版

〇ブリタニカ国際大百科事典 2009年発行

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