動物文様『鳥』東洋でのイメージ・意味とは?
Views: 14

東洋で 鳥とはどういう
イメージ・意味を持つのでしょうか?
今回は東洋での鳥文様の持つ意味に
ついてまとめました。
【目次】
〇花食い鳥
〇鳳凰
〇孔雀
〇鶴
〇金烏(きんう)・八咫烏(やたがらす)
〇鳩
〇花食い鳥
花をくわえる鳥の文様、
花食い鳥(はなくいどり)は
ササン朝ペルシャ(※1)が発祥の文様で
染め織物のモチーフとして
様々な鳥か使われた模様が考案・発達し
シルクロードを経由して
東西の文化圏へ広がっていきました。
花食い鳥の文様で
鳥は聖鳥・瑞兆を表す鳥といわれ、
鳥がくわえている枝は
幸せをもたらすものとされています。
この二つが合わさった
花食い鳥紋様そのものは
吉兆を表す紋様として
染め織物や金細工など
幅広い芸術で使われています。
〇鳳凰(ほうおう)
鳳凰は 古代中国では
麒麟・亀・龍とともに
四瑞として尊重された
想像上の吉兆を表す鳥です。
鳥の中では最高位の鳥で
オスは鳳(ほう)、メスを凰(おう)と
呼びます。
徳の高い君子(皇帝・王様)が現れた時に
雄雌が一緒に空を飛び
雄雌双方が鳴くと
天下泰平–
世の中が争いもなく平和な状態である
とされました。
この鳳凰紋は使われ始めた時代がとても古く
中国上古代の王朝
殷・周(※2)の青銅器からも
鳳凰紋が見ることができます。
〇孔雀(くじゃく)
孔雀はインド産といわれ
原産地であるインドでは
創造神ヴィシュヌ神(※3)の化身といわれ
仏教では孔雀明王(※4)とされています。
〇鶴(つる)
鶴は中国では
千年生きるといわれています。
また 鶴は仙人(※5)の乗る
特別な鳥とされていたので
長寿を表す吉兆の鳥として
他の長寿を表す亀(※6)や松、瑞雲と一緒に
模様として描かれることが多い鳥です。
〇金烏(きんう)・
八咫烏(やたがらす)
古代中国では 太陽の中には
三本足の烏がいるとされ
太陽の象徴として金烏(きんう)として
皇帝の服の文様の一つになっています。
現在では この太陽に住むいわれる金烏は
太陽の黒点の事を示している(※7)と
されています。
この 金烏は日本では
八咫烏(ヤタガラス)として
和歌山県熊野三山の神社
(熊野権現・熊野速玉大社・熊野那智大社)の
象徴にもなっています。
〇鳩(ハト)
鳩は 伝書バトとして使われ
そのせいからか
古くから軍神の使いとして
八幡大菩薩(※8)の使者として
日本では信仰されました。
(※1)ササン朝ペルシャ(紀元後226~651年)
アルダーシル一世によって創建され、
アラブ人に滅ぼされたイランの王朝。
イスタクルの祭司であった
ササンに由来する。
ゾロアスター教を基礎とする文化発展を
とげたが 連続する戦争により国は疲弊し
ヤズデゲルド3世の時、
425年の歴史を幕を下ろした。
しかし、帝国滅亡後もその政治制度は
長くイスラム国家に継承され、
さらに ゾロアスター教の経典
『アベスタ』の翻訳、
注釈、ササン朝美術など
文化遺産が後世に与えた影響は強い。
(ブリタニカ国際大百科事典より)
(※2)
殷(いん 紀元前16世紀~紀元前1023年)・周(しゅう 紀元前1023~紀元前255年)
中国の上古代にあったとされる王朝
殷王朝–中国の古代王朝の一つ。
紀元前16世紀から
紀元前1023年まで続く。
司馬遷(紀元前145年~紀元前86年)
の記した歴史書『史記』によれば
湯王が夏王朝を滅ぼしてはじめ、
30代目の紂(ちゅう)王の時に
周の武王に滅ぼされた。
高度の青銅器の技術と
甲骨文字を持つ。
周王朝–中国古代王朝の一つ。
殷王朝に服属していたが
武王が殷を滅ぼして周王朝を建国。
紀元前770年に平王が
現在の洛陽付近である
成周に即位し、
いったん周は東西分裂したが
西の周はまもなく滅亡。
以上を東遷といい、
東遷以前を西周、
それ以後を東周
(春秋戦国時代あたり)という。
(広辞苑より)
(※3)ヴィシュヌ神
ヒンドゥー教三神の一つ
ヴィシュヌ派の主神。
インドの最古の宗教文献の一つ
リグ-ヴェーダでは太陽の活動を象徴、のちに
宇宙維持・世界救済の神となる。
仏教では毘紐天(びちゅうてん)とされる。
(※4)孔雀明王(くじゃくみょうおう)
仏教で毒蛇を食う孔雀を神格化した明王。
一切の毒を除くとされる。
明王とは 大日如来の命令で
もろもろの悪魔を降伏させる諸尊のこと。
(※5)仙人
中国の道家の理想的人物 または
修行者を指す。
人間界を離れて山中に住み
不老不死の方法を修得し
神変自在の法術を使えるといわれている。
(※6)長寿を表す亀
中国・日本では
鶴は千年、亀は万年生きるとされている。
(※7)八咫烏 太陽の黒点説
三足烏の東征、八咫烏の西征 明治学院大学
(※8)八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)
日本神話の15代天皇応神天皇を祭ったもの。
勝利の神とされ
『武士の守り神』として深く信仰された。
(引用文献 仏像入門ドットコムより)
https://butsuzo-nyumon.com/hachiman-daibosatsu
【引用・参考文献】
〇アジア・中東の装飾と文様
海野弘著 パイインターナショナル発行
〇日本・中国の文様事典
早坂優子著 視覚デザイン研究所発行
〇面白いほどよくわかる家紋のすべて
-発祥の由来や歴史的背景から見えてくる家紋の姿
安達史人監修 日本文芸社発行
〇広辞苑 第6版
〇国際ブリタニカ大百科事典 2009年


