植物文様 西洋でのイメージ・意味は?①
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西洋では 植物とはどういう
イメージ・意味を
持つのでしょうか?
今回は西洋での主な花の文様の
持つ意味に
ついてまとめました。
【目次】
〇バラ
〇ユリ
〇蓮(ロータス)
〇千花模様(ミルフルール)
〇バラ
バラはギリシャ・ローマ神話の
愛と美の女神ヴィーナス(※1)の花とされ
キリスト教美術では
とげのないバラは
聖母マリア(※2)の慈愛を象徴する花として
聖母像に捧げられました。
特に聖母はバラの咲きほこる庭に
座っている様子がよく表現され
その庭は聖母の「処女性」の象徴と
天国のイメージとして
描かれたようです。
また バラはその華やかな花と、
とげを持つという特性から
美しさとそれを覆い隠す物という
二重のイメージ・意味を
持つ植物とされ
おとぎ話の
「眠りの森の美女」のように
美しいものとそれを隠す
茨(いばら)という
定型表現としても使われました。
(※1)愛と美の女神ヴィーナス
(ギリシャ神話 アフロディテ)
ローマ神話での美と愛の女神 また
菜園の守護女神。
ギリシャ神話のアフロディテと
同一視された。
ギリシャ神話のアフロディテ
美・恋愛・豊穣の女神。
ゼウスとディオネとの子とも
ウラヌスの性器を浮かべる
海の泡から
生まれたともいう。
ギリシャ神話の愛の神エロスの母。
(※2)聖母マリア
キリスト教においての
救世主イエス・キリストの
母マリアの名称。
〇ユリ
ユリは ギリシャ神話
ゼウスの正妻 女神ヘラ(※3)の乳から生まれたとされ
その白さは「純潔」を表すとされ
キリスト教美術では
6枚の花弁のユリは
聖母マリアを象徴する花
(マドンナ・リリー)
とされている。
一方 ユリはその縦長筒状の
形状から
男性のシンボルともされ
権力と男らしさの象徴とも
されました
フランス王のユリの
シンボル・紋章の
「フルール・ド・リス」は
吹きあがる水のように
3つの花弁を形どり、
中央のまっすぐ伸びた花弁は剣に、
花全体が十字の形に見えることから
フルール・ド・リスの紋章は
”剣と十字で戦う
キリスト教のために戦う王”を
示すといわれています。
(※3)ギリシャ神話 女神ヘラ
ギリシャ神話で最高の女神。
クロノスとレアの娘。
女性の保護神、結婚も司る。
嫉妬心が強く、
夫ゼウスの恋人や
その子供を迫害する。
ローマ神話では
ジュノーやユノ と呼ばれ
ギリシャ神話のヘラと
同一視された。
(白に対する西洋のイメージについては下記記事を参考にしてください)
(フルール・ド・リスについては下記の記事を参考にしてください。)
〇睡蓮(ロータス)
蓮・睡蓮(はす・すいれん)は
エジプトからインドまで
幅広い地域に見らせる
植物文様です。
エジプトでは太陽の光を浴びると
花開く様子から
復活・再生、豊穣の象徴とされ
文様としてよく使われました。
睡蓮紋はエジプトから、
メソポタミア(※4)
さらにはシルクロード(※5)を
伝って文様が伝わり
神聖な文様として各地で
使用されるようになったようです。
(※4)メソポタミア
世界最古の文明発祥地の一つ。
西アジア、
チグリス・ユーフラテス河の間、
アルメニア高原からペルシア湾に
わたる地域。
エジプト文明に並ぶ
アッシリア文明及び
バビロニア文明の発祥の地。
(※5)シルクロード
中央アジアを横断する東西交通路に
対して名付けられた呼称。
中国の特産品だった絹(シルク)が
この道を通り、西アジアを経由して
ヨーロッパ・北アフリカへもたらされた事から
シルクロードと呼ばれる。
〇千花模様(ミルフルール)
千花模様とは多くの花々を
一面に敷き詰めた
絨毯(じゅうたん)のような
模様の事を指します。
元々はペルシアが発祥とされます。
千花模様のたくさんの花々が
咲き誇る庭は
天国を表すとされる一方で、
咲き誇る花の影に
「虚栄のはかなさ」の意味も
潜まされていることがあります。
【引用・参考文献】
〇ヨーロッパの装飾と文様
海野弘著 パイ インターナショナル発行
〇ヨーロッパの文様事典
早坂優子著 視覚デザイン研究所発行
〇広辞苑 第6版

