西洋の『青』に対するイメージ・文化とは?

ヨーロッパで、

青色はどのような意味を持った

色だったのでしょうか。

今回は 中世ヨーロッパを中心に

青色に対する文化・イメージを紹介します。

【目次】

聖母マリアの衣の色とされた高貴な青色

農民や労働者の服を象徴する明るい青 


聖母マリアの衣の色とされた高貴な青色

古代ギリシャ・エジプトで青色は

天空を象徴する色としてよく使われました。

その考えはヨーロッパのキリスト教にも多く影響され

12世紀頃のキリスト教の絵画では

聖母マリア(※1)を『天空の女王』として表現するために

マリアの衣はよく青色で描かれるようになりました(※2)。

のちに、中世のフランス カペー王朝(※3)では

マリア信仰に影響を受け

聖母マリアの深い青色

マリアを象徴する花 ユリをかたどった紋章

フルール・ド・リス(※4)を王家の紋章・シンボルに使うようになり、

次第に深い青色は 王家を象徴する高貴な色になっていきました。


農民や労働者の服を象徴する明るい青 

深い青色が高貴な色になっていく一方、

藍染の服装は庶民の一般的な服の色として広まっていきました

王家のムラのなく深い青色に染められたものに対して

庶民の青い服は

色あせた明るい青色 をしていたそうです。

欧米に限ず、東洋の文化圏でも

藍染の服は労働者の仕事・作業着としてよく使われました

そのため、この文化の名残で

現代では生産工場勤務の労働者のことを

『ブルーカラー』と呼ぶようになったといわれています。


(※1)聖母マリア

キリスト教においての

救世主イエス・キリストの

母マリアの名称。

(※2補足)

当時の絵画に使われる青色の顔料は、

トルコ石や藍銅鉱などの鉱物を使って作られていた。

特に聖母マリアを描くのに使われるウルトラマリン色は

金に相当するぐらい貴重な鉱物である

ラピスラズリから作られており、

あまりに高価な顔料のため

聖母マリアを描くときだけに使われていたようだ。

(※3)フランス カペー王朝

ユーグ・カペーを始祖とした

987年~1328年フランスを統治した王家・王朝。

直系のカペー家と傍家のバロア家、ブルボン家がある。

12世紀末以降、次第に王権を強め

統一国家の礎を築く。

(※4)フルール・ド・リス (ウィキペディアより)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%B9

(補足1)

植物から作られた染料は

服のこすれや時間による劣化によって

すぐ色落ちしてしまうため

一般の人々の服は、くすんだ色合いの服だったそうです

(補足2)

中世ヨーロッパで

服を青く染めるのに使われた染料は

主にアブラナ科の越年草の

大青(タイセイ 東洋では大藍とも)が使われた。

後に1516年に航海をへて

ポルトガル経由で東洋の国から

インディゴ(補足3)という青色染料がヨーロッパに伝わりました。

インディゴは次第に青の染料の代表格として

ヨーロッパの市場を占領していきました。

(補足3)

インディゴとはマメ科コマツナギ属の植物、

特にシマコマツナギから採取される青色の植物性染料のこと。

インディゴは古代エジプトやゲルマン(北欧)、

ユダヤの人々など古くから青の染料として使っていた。

インディゴの使用地域はアフリカのアルジェリアや

東洋の日本、インドネシアなど他

南米のメキシコやブラジルなど幅広い地域で使われていた。

ただ、中世ヨーロッパでは大青が幅広く栽培され

貴族の主な資金源となっていたため、

インディゴがあまり使われなかったと推察される。


【引用・参考文献】

〇色彩の紋章 

シシル著 伊藤亜紀翻訳  悠書館発行

〇色で読む中世ヨーロッパ

 徳井淑子著 講談社発行       

〇色彩の魔力-文化的・美的・心理学的アプローチ

浜本隆志・伊藤誠宏編集 明石書店発行

〇色彩-色材の文化史

フランソワ・ドラマール・ベルナール・ギノー著

柏木博監修 創元社発行

〇色彩の宇宙誌-色彩の文化史

城一夫著 明現社発行

https://amzn.to/3Sv1YZB

https://amzn.to/47Ys8JW

https://amzn.to/3Srwl2X

https://amzn.to/3umyYuY

〇色の名前と色見本

https://irononamae.web.fc2.com/fr/

〇広辞苑 第六版

〇ブリタニカ国際大百科事典 2009年

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です