西洋の『白』に対するイメージ・文化とは?

ヨーロッパで、

白色はどのような意味を持った

色だったのでしょうか。

今回は 中世ヨーロッパを中心に

白に対する文化・イメージを紹介します。

【目次】

神の色とされた白色

純潔を象徴する白


神の色とされた白色

古代・中世にかけてヨーロッパで強い影響力を持っていたキリスト教では

白は聖なる色として大変重要視されていました。

キリスト教の聖書によると

『神の姿は 全ての色に染まらない白い光』として描かれており

光・白=神を象徴する色として

絵画や教会のステンドグラスなどの芸術に多く使われました

特に宗教関係の芸術や建築などでは

神を光・白色、 悪魔や地獄を闇・黒色で表現することで

正義と邪悪=白と黒 という対立する構造・概念を作りだし

キリスト教の神の世界を

人々に説明できるようにシンボル化・抽象化していきました。

このような善悪の二つの対立を象徴するものや絵画などを

教会の儀式に取り入れることで、

人々にキリスト教の宗教観や教えを広めていったようです


純潔を象徴する白

ヨーロッパでは、キリスト教の影響もあり、

白色はどんな色にも染まらない光の色として、

『純潔』(清純・無垢・欠点のないもの)を表す色

としてよく使われました。

その象徴の中で特にあげられるのは、

キリスト教の聖書や絵画でよく描かれる

神の子キリストを身ごもったとされる聖母マリアです。

聖母マリアは 男女の交わりからではなく 神の啓示で

救世主を身ごもったことから『白・純潔』のシンボルとして

宗教画に多く描かれました。

それに伴い、18世紀後半ごろから

結婚に使われる白のウェディングドレスは 

女性の処女のシンボルとして使われるようになりました。(※1)

また、中世ヨーロッパでは 女性の純潔以外にも

騎士の純潔も重視されていました

そのため 若い貴族の男性が騎士叙任を受けるときは

その人の魂と肉体の純潔を示すために

白い帯と帽子を身に着けて 儀式に参加するのが慣習だったようです。

このように 中世ヨーロッパでは

白色は 『誠実さや純潔さ、正しさ』の 代名詞として

使われていたことがうかがえますね。


(※1)中世ヨーロッパの結婚式のドレスの色

古代~17世紀ごろまでは 結婚式のドレスは白ではなく

赤色が使われてた。

中世から近代にかけては 結婚を迎える女性は純潔であることが

当然だという常識・認識だったため、わざわざ 

結婚式に白を身に着けて示す必要がなかったようだ。

ところが近代になっていくにつれ 自由恋愛や婚前交渉などが

次第に広がっていったため、

結婚式では 白(純潔)ということを視覚的に周りに表現する必要があり

白色のウェディングドレスが多く使われるようになったといわれている。


【引用・参考文献】

〇色彩の紋章 

シシル著 伊藤亜紀翻訳  悠書館発行

〇色で読む中世ヨーロッパ  徳井淑子著 講談社発行

〇色彩の魔力-文化的・美的・心理学的アプローチ

浜本隆志・伊藤誠宏編集 明石書店発行

〇色彩-色材の文化史

フランソワ・ドラマール・ベルナール・ギノー著

柏木博監修 創元社発行

〇色彩の宇宙誌-色彩の文化史

城一夫著 明現社発行

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