西洋のドラゴン応用2 古代エジプトのコブラ神
古代エジプトでは
蛇を神として信仰していました。
今回は古代エジプトで信仰されていた蛇神について紹介していきます。
【目次】
・エジプトのコブラ神と悪蛇
・王権の守護蛇神vs悪蛇アポピス
エジプトのコブラ神と悪蛇

古代エジプトには、
メソポタミアのティアマトような龍は存在していませんでしたが、
中国の龍のように、コブラの女神ウラエウス(※1)が
王権の象徴として信仰されました。
ウラエウス は、エジプト神話では、
ナイル川の定期的な氾濫によって豊穣な土壌を保ち続ける
デルタ地帯の豊饒力を象徴する女神です。
水と豊穣のシンボルとして生まれ、
エジプト王権を守護し、国家に恩恵をもたらす神として
信仰されたウラエウスは
エジプト王権のシンボルとして、
壁画などで王の冠にウラエウスを象徴する
S字のコブラが飾られました。
王権の守護蛇神vs悪蛇アポピス
一方で、エジプト神話では
王権の象徴として信仰された女神ウラエウスと
敵対するアポピス(※2)という悪蛇が存在します。
王権に敵対する蛇という関係は、
バビロニア王朝と悪竜ティアマト伝承の影響を
受けていた事を感じることができます
エジプトでは、
中国の龍やのちの西洋のドラゴンのように、
蛇が龍に変化することはありませんでしたが、
古代人にとって蛇=コブラは毒蛇という恐れによって
人々に畏怖の念を抱かせ、
信仰対象へと変わっていたと考えられます。
(※1) ウラエウス
太陽神ラーの体から誕生したとされるコブラの女神。
多くの〈ラーの娘〉の称号を持つ女神たちと習合している。
冠等を飾る装飾として使われました。
(※2)アポピス(又は、アペプとも呼ばれます)
太陽神ラーの主な敵で、巨大な蛇。
世界が創造される以前のヌン
(エジプト神話での世界が作られる前に存在した“原初の水”)
の中にいたころの太陽の姿とされることもあるそうです。
太陽の運行であるラーの航海を邪魔することや、
冥界では死者の魂を攻撃する
恐ろしい存在として神話には書かれています。
【参考文献】
・最新世界史図説 タペストリー 帝国書院 発行



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