吸血鬼ってどういう種族なの?

ホラーやファンタジーで登場する

代表的な魔物、吸血鬼(ヴァンパイア)。

彼らは どのような逸話をもって

生まれたのでしょうか?

【目次】

そもそも、吸血鬼とは?

吸血鬼の代表格 スラブのヴァンパイア伝承


そもそも、吸血鬼とは?

吸血鬼とは文字の通り

人の血を吸う怪物のことを指します。

この吸血鬼と呼ばれる妖怪やモンスターの伝承

実は ヨーロッパのみならず

世界各地に存在します。(※1)

その理由としては、

古くから人々は 血液は命の源と考えられおり

作物の豊かな実り(豊穣)や

神の怒りをなだめる重要な儀式に

動物の血 (場合によっては 人間の血)を

捧げてきました

この血に対する信仰・考えの影響で

死者が生き返りたい・

よみがえりたいという欲のために

生きている人から 

命の源である血を吸い取る化け物の話が

世界各地に点々とちらばっています。

ただ、 現代でホラーや

ファンタジー小説で出てくる

吸血鬼(ヴァンパイア)のイメージは

主に 東ヨーロッパのスラブ民族(※2)に伝わる

吸血鬼伝説を中心に作られているようです。


吸血鬼の代表格 

スラブのヴァンパイア伝承

スラブ民族に伝わる吸血鬼伝承とは

どういう話なのでしょうか。

スラブ伝承では 吸血鬼は元々は人間で

自殺・他殺などの通常の死に方ではない場合

生前 魔女になったり・教会に破門されるなどの

呪われた人生を送った人

葬儀の仕方に問題があって埋葬した後 

悪霊などの穢れが死体に入り込んでしまった等

の様々な理由により死後 生き血を求め、

人を襲う吸血鬼になるとされています


そのため、東ヨーロッパの方では

死者を埋葬するときは

吸血鬼にならないように

埋葬するとき死者をうつぶせにして埋葬したり、

鎌(一種の魔除けとして)を死者の棺にいれたり、

死者を埋めた土の上にケシの実や

野ばら(※3)枝のを置くなどの

魔除けや死者が蘇らないように対策をして

葬儀を行っていたようです

このような恐ろしい不死の怪物ヴァンパイアですが

倒し方として有名なのが

『心臓を杭で打つ』方法です。

ただ、この方法は 退治というよりも

ヴァンパイアを墓に一時的に釘付けにして

とどめておく方法として使われ、

確実な退治仕方としては

首を落とすか 

火で焼いて灰にしてしまう他なかった

といわれています。


元ネタであるスラブ民族の吸血鬼の姿は

現代のイメージとは 

少し違うように感じるかもしれません。

というのも、今の吸血鬼のイメージは

19世紀ごろヨーロッパで大ブームを起こした

吸血鬼文学 

(有名作品『吸血鬼ドラキュラ』、

        『吸血鬼カーミラ』など)

によって形づくられています

これらの小説や映画などの作品の影響により

世界史に残る殺人鬼たち(※4)の逸話や

各地の吸血鬼のイメージを取り込みながら

日光や十字架などの聖なる物に弱かったり

鏡に映らなかったりと 様々な設定が盛り込まれ

現代のヴァンパイアのイメージが

出来上がっていったようです。


(※1)世界各地の吸血鬼

【ヨーロッパの吸血鬼】

〇ラミア・ヴァルコラキ・ユダの子ら・

 ストリゴイ・カルマ・赤帽子 等多数

【他の地域の吸血鬼】

〇ヴェラータ(インド)

〇エストリー(ヘブライ伝承)

〇リリス(バビロニア伝承)

〇グール(アラビア半島)

〇キョンシー・鬼(中国)

〇水虎(日本)

〇ゾンビ(西インド諸島) 等々多種


(※2)スラブ民族(スラブ人)

ヨーロッパ最大の人種的、言語的諸民族の集合体。

主に東ヨーロッパに居住するが、

数世紀にわたる移住により

現在ではコーカサス、北・中央アジア、

極東、北アメリカ等

世界に広く分布している。

宗教的にはスラブ人は 主にギリシャ正教と

カトリック教会の二つの宗派に分けられる。

補足))東ヨーロッパとは

主に ヨーロッパロシアを除く

第二次世界大戦後に社会主義体制を採用した

諸国を指す。

(※3)野ばら

バラは魔女や人狼などの様々な魔物に対して

効力を持つとされ

バラの花は魔物の肌を焼き、

花の香りは魔物を遠ざけるとされていた。

(※4)世界史に残る殺人鬼たち

〇ワラキア公 ヴラド4世(ルーマニア南部)

〇ジル・ド・レ(フランス)

〇エルジェベト・バートリー(ハンガリー)  等


【もっと深堀り記事】

〇吸血鬼の弱点

https://ofuse.me/e/41553

〇心強い!ヴァンパイアハンター

https://ofuse.me/e/41410


【引用・参考文献】

〇幻想世界の住人たち Ⅰ

 健部伸明・怪兵隊著 新紀元社発行

〇幻想生物 西洋編

 山北篤著  新紀元社発行

〇ヴァンパイア

 森野たくみ 新紀元社発行

〇吸血鬼伝説 

 ジャン・マリ二著 創元社発行

https://amzn.to/3UdlWKD

https://amzn.to/3U8hiOd

https://amzn.to/42jtgXh

https://amzn.to/3HW4Cmp

〇ブリタニカ国際大百科事典 2009版

  • X

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です