ともかづき(共潜き)

【目次】

ともかづき(共潜き)とは?

海女さんたちのともかづき除けの方法


ともかづき(共潜き)とは

ともかづきとは 三重県志摩郡に伝わる海の妖怪。(※1)

海女(※2)さんが海中に潜り、漁をしていると自分と

自分そっくりの姿をした海女さんが現れ アワビを差し出してきたり

海の深いところに誘ってきて

これに誘われてしまうと海女さんは息が持たなくなり

溺れて命を落とすといわれています。

ともかづきの正体は、

その場所でおぼれてなくなった海女の幽霊

もし、ともかづきに アワビを差し出されたら後ろ手

(背中を向けて手を差し出す)で

受け取ると海底に引きずりこまれずに 難を逃れられるそうです。

三重県以外では

静岡県賀茂郡南崎村や福井県あらわ市にも

同じような怪異の言い伝えが残されています。


海女さんたちのともかづき除けの方法

ともかづきか どうか の見分け方として

現れた海女さんの使っている はちまきの端が

長くなびいていたり 

水中で出会った海女の足が見なかった場合 

ともかづきだといわれているそうです。

海女さんたちは 素潜りの際 使う道具や服装に

清明紋(五芒星)や九字の模様を黒い糸で

ぬいつけたり(刺繍)、道具に刻んで

妖怪・ともかづきよけにしています。

また、ほかには正福寺(鳥羽市)や伊雑宮(志摩市)のお守りを

こより状にして潜水メガネのひもに結び付けて (※3)

ともかづきに出会わないように 呪符として使っているそうです。


(※1)ともかづき という名前の由来

『古事記』(中つ巻)に”潜る”ことを意味する「潜き(読み:かづき)」の言葉があり、

それにちなんで 『ともかづき』と呼ばれるようになった。

(※2)海女(あま)  (男性の場合 海士と書く)

潜水して魚介類、海藻の採取を仕事とする漁民。

現在では 海士の数は少なく、ほとんどが海女となっているが、

これは 男子に比べ皮下脂肪が厚く、

寒さに耐えれる女子に適する作業であるためと言われている。

日本列島の太平洋岸の岩手、千葉、静岡、三重、徳島や

日本海側の長崎、福井、石川、新潟にも海女・海士業が行われている。

中でも 千葉県と三重県志摩が有名である。

(※3)これら寺院の呪符を使っている理由としては

正福寺や世義寺(伊勢市)などの密教系寺院にかかわる修験道者が

関係しているされている。

※(補足)古事記とは

日本現存の最古の歴史書・文学書 3巻。

序(上表文)によれば 天武天皇の命令ににより稗田阿礼(ひえだのあれ)が

『誦(しょう)習(暗唱)』してまとめていた帝紀・旧辞(古事記以前の天皇の名や系譜、をまとめた物、西暦6世紀ごろには散逸してしまって現存していない)を

元明天皇の命令によって 太安麻侶(おおのやすまろ)が内容を選定しまとめ直し

西暦712年に元明天皇に献上したもの。

日本神話での天地の始まりから

推古天皇(在位紀元後593年~628年)時代までの天皇皇室を中心とする歴史を記しているが、

実質的には神話、伝説、歌謡、系譜が主な内容なため 

史料としてはそのまま使い難い面が多い一方、

文学書としては興味深い存在ともいえる。


【引用・参考文献】

〇47都道府県妖怪伝承百科 小松和彦・常光徹監修 丸善出版発行

〇日本怪異妖怪大事典 小松和彦監修 東京堂出版発行

〇妖怪事典 村上健司著 毎日新聞社発行

〇鳥羽・志摩の海女 塚本明著 吉川弘文館出版

〇かたちの謎を解く魔除け百科 岡田保造著 丸善発行

〇志摩の海女 -附 志摩の漁夫の昔語り-   岩田準一著 鳥羽志摩文化研究会発行

〇平成26年度鳥羽・志摩の海女漁技術『海女の一日』(動画)

https://youtu.be/QFFB6_J8E5Q?si=aJGKJux_eVynVBa4

〇広辞苑 第6版

〇ブリタニカ国際大百科事典 2009年発行

【より海女さんを知るためにオススメの場所】

〇鳥羽市立 海の博物館  場所:三重県鳥羽市浦村町大吉1731-68

http://www.umihaku.com/


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