海女さん こぼれ話

妖怪 ともかづきを調べていて

管理人の興味をくすぐったことを

余談としてまとめました。

【目次】

なんで海女さん(女性)なの?

海女漁 3つ仕事方法 


なんで海女さん(女性)なの?

素潜り漁といわれるとなぜ 

文字の通り『海女さん(海の女性)』といわれるのでしょうか?

一応、少数ですが男性で素潜り漁をする人は海士(この読みも『あま』と読みます)と呼ばれ

昔から現在でも素潜り漁をしている人はいます

ただ、素潜り漁の主な担い手として女性が任されていた理由として

明治期に三重県がまとめた『三重県水産図解』という書物ではこのように指摘しています。


 女性は潜水するときの息が長くつづき、

 自分の実力をよく理解して 

 素潜り漁の時は 無理しないように頻繁に水面に浮上するので

 事故が少ない。

 一方で、男性は 気張りすぎて、息が尽きそうになっても 

 欲張って獲物を取ろうとするため、たびたび事故が起きたので

 男の素潜り漁を一切禁止にした。(内容意訳あり)


水の中の漁仕事は 陸上とは違った環境で行う

死と隣り合わせの危険な仕事です。

少しでも 事故を少なく、より安全に漁を行うために

何事にも慎重な女性が主役の仕事になったので 

素潜り漁の主な職名として

『海女』と呼ばれるようになったようです。


海女漁 3つ仕事方法 

海女さんの素潜り漁の方法はカチド・フナド・ノリアイの三つがあります。

カチドは上の図のように

各個人の海女さんが 海岸から歩いて(歩きのことを『カチ』といわれる)

潜れる深さになったら海に潜って行う漁の方法です。

カチドではベテランの海女さんでも 潜水はせいぜい10mほどが限界だそうです。

ノリアイという方法では

一人の船頭が操る船に 十数人の海女さんが乗り沖合まで出て行う漁の方法で、

ノリアイでの漁では、海女さん個人の力のみで潜っていくので

カチドと同じく潜水できる深さは10mぐらいだといわれています。

一方、フナド

船を操る男一人と海女さん一人の二人組を作って行います

船を使って沖まで出た後、海女さんはおもりを使って一気に深く潜水し、

浮上するときは 船上で待機している男性の力を借りて、船に上がり休憩します

この浮上・船に引き上げるときは かなりの力がいる他、

引き上げかたを少しでも失敗すると 

海女さんが命を落としてなくなってしまうことがあるので

深く信頼できる夫婦や親子同士のみ

コンビを組み行います。

この仕事・作業の方法から フナドは

力強い男性と、寒さに強く深く潜水できる体を持つ女性の

お互い特性を生かし協力する、歴史的にも最も古くに確認できる

男女の社会的共生(男女共同参画)の形ともいわれています

古くから現代まで 

このような男女で協力して行う仕事のしかたが続いているのは

とても貴重で素晴らしいことですね。


【引用・参考書籍】

〇鳥羽・志摩の海女 塚本明 吉川弘文館発行

〇広辞苑 第6版

〇ブリタニカ国際大百科事典 2008年

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